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京都市役所で働く卒業生が語る、同志社中での学びと成長の軌跡

同志社中学校の卒業生で、現在京都市役所で働く小野寺亮太(おのでら りょうた)さんに、卒業後の経験やキャリア、同中での学びについてインタビューしました。
地方公務員として、地域の発展に貢献する活動に取り組んでいる小野寺さんの仕事への情熱や、中学校での経験がどのように仕事に影響を与えているのかについても伺いました。


卒業後の進路と現在のお仕事

現在33歳で、社会人としては11年目です。
中学卒業は2006年3月、その後は同志社高校へ内部進学し、さらに同志社大学の法学部法律学科で法律を学びました。そして、卒業後はそのまま京都市役所に入庁し、現在は京都市職員として勤務しています。

最初は山科区役所で福祉系の仕事をし、その後、観光の部署に3年間、次に中央卸売市場で4年間勤務しました。
そして現在は、子ども若者はぐくみ局という部署で2年目を迎え、子ども・若者の居場所づくりや成人式などを担当しています。

成人式は年に1度の開催で、かつ参加される新成人やご家族にとっては「一生に一度」の祝い事ですので、思い出に残るような式典を目指しています。
会場の運営や申し込みの準備など細かな裏方の仕事もしていますし、当日の様々なイベント、たとえば、地元のスポーツチームのパフォーマンスなどを提供して、参加する方々が楽しめるように工夫しています。

働き方への意識と、京都への愛着が重なった

もともと公務員になるという強い願望は持っていませんでした。実家は自営業で、観光客向けに飲食兼土産物販売を行っています。
幼い頃から両親が年間360日ほど働いているのを見て育ち、大変そうで私にはそのような働き方が合ってないのでは?と、感じていました。

一方で、中学から大学まで京都の学校に10年間通っていたこともあり、「京都」に対する愛着が強くなりました。卒業後の進路を考える頃には、ぼんやりと京都のために働きたいという気持ちが湧いてきました。企業に入って働くイメージも自分にしっくりこなかったこともあって、「自分が育った京都のために働きたい!京都をもっとよくしたい!」との思いに至りました。

同級生の多くが民間企業を目指していて、公務員を目指す人はあまりいませんでした。親しい友人が東京や大阪などの都市に就職する中、私は「京都に帰ったら会える友達が必要なはずだ!」という使命感があったように思います(笑)

京都に対する強い愛着と、友達とのつながりを大切にしたかったことが、大きかったのかなと思いますね!

中学校での経験が、私の行動力の原点

中学生の頃に、部活のキャプテンや生徒会の執行委員を担った経験から、
自分で考えて行動したり、チームで協力することに興味がありました。ただ、働き出す以前は、公務員と言えば「お役所仕事」のような固いイメージがあり、歯車の一部になってしまうのではないかと思っていたのが正直なところです。しかし、市民や企業の皆さんと協力して地域に根差した活動や、まちづくりができることに魅力を感じて、市役所の職員を志望しました。

最初の部署では、9時から17時までの定時で、事務手続きや市民対応にひたすら従事しました。まさに「お役所仕事」というイメージ通りでした。
でも、だからこそプライベートの時間を有効に使い、手を挙げて参加できるプロジェクトに積極的に関わるようにしていました。

やはりそれは、同志社中学校の「自由な校風」を経験していたことが大きかったんだなと、今だからこそ感じています。
中学校時代から、学園祭や生徒会活動など、自分たちで企画し実行する機会が多く、新しいことに挑戦する喜びや興奮を味わうことができました。これらの経験が、社会人としての私の行動力の原点となっています。

”挑戦したいこと”を”尊重”してくれる”自由”

例えば、私服での登校や、校則が少ないことなど、自由な校風だと感じていました。もちろん、振る舞いによっては注意を受けることもありましたが、やりたいことに対して制限をかけられることは、ほとんどありませんでした。

中学3年生の時、バレーボール大会が雨天で中止となった際に、「予備日がないのはおかしい!改めて開催してほしい!」と校長先生に直談判した経験があります。生徒会が中心となって署名を集め、校長先生のところへみんなの思いを伝えに行きました。
当時の生徒会の先生は、中止と言われて、ただそれを受け入れるだけではなく、納得いかないことについて自分たちで考えて行動を起こすことを応援してくれました。最終的に開催は叶わなかったものの、その経験を通じて、先生たちが生徒の意見や要望を尊重し、ともに考えてくれることを実感しました。

学校での自治活動は、自分の意志を持ち、それを実現する場なんだと、その時に思ったことを今でも強く覚えています。

クラス活動の経験と共鳴し続ける今

同志社中学校の学園祭は、みんなで創り上げる取組とその達成感を得ることができる、非常に良い経験でした。一人ひとりクラスの中で役割があって、個性や強みを活かして、みんなで一つのもの創り上げる過程の魅力を実感できた原体験といえます。

その感覚は、今も変わっていません。いま公務員として、市民や企業と一緒になって、地域や社会の課題を解決することに取り組んでいます。その中で、みんなの意見やアイデアを出し合いながら解決策を考えるのは、私が大切にしている「対話」と「協創」であり、当時の経験と共鳴しているように感じています。

授業が好き。その環境を今も大切に思う

私は特に、同中のユニークな授業が好きでした。先生たちが決められたカリキュラムだけを教えるのではなく、自らの持ち味や個性を生かして教えていたからだと思います。例えば、英語の先生は洋楽を使った授業を行ったり、社会の先生は私たちの議論が盛り上がるキッカケになるVTRを流して教えてくれたりと、個性的な授業が多かったのが印象的でした。

ただ授業を受けるだけではなく、学びをワクワクさせてくれる先生たちがいたり、生徒同士のコミュニケーションで学び合う場面がたくさんあったから、授業が楽しくて好きでした。いまでもその環境に身を置いていたことをとても大切に思っています。

グローカルな視点を持てる京都、そして同志社中学校を活かしてほしい

私が中学生の頃から比較すると、今の同中には新しい取組がたくさんあって羨ましいですね。自分の興味・関心をとことん追求できる環境にあることは本当に素晴らしいと思います。特に、京都は歴史や文化、伝統、芸術など多様な魅力が詰まったまちです。中学生の頃から外の世界に飛び出し、様々な人や場所に触れる経験は非常に価値があると感じています。

これからは「グローカル」つまり、グローバルとローカルを組み合わせた視点がより一層必要だと思います。日本全国、世界を視野に、地球規模で物事を考えることも大切。同時に、地域の視点で、草の根的に行動することも同じくらい大切です。

京都は世界中から人が集まるグローバルな街であり、1200年の歴史を誇る文化力・地域力・市民力が溢れる街です。長い年月をかけて培われてきた「めきき、たくみ、きわめ、こころみ、もてなし、しまつ」の生活文化や世界遺産をはじめとする寺社仏閣の数々、世界に名を馳せる大企業や代々続く老舗企業など、身近なところに学びの場がたくさんあります。

以前は「学校」は閉鎖的な場所というイメージがありましたが、生徒たちが地域や社会に出て、新しいチャレンジをすることでそのイメージも変わりつつあります。地域の企業や大学との連携が増えてきた結果、生徒たちの学びの選択肢も増えてきていると認識しています。

同中には、生徒の可能性やエネルギーを最大限に活かせるようなプログラムや環境が整っていることが最大の価値ではないでしょうか。私がサポーターとして関わっている「同中まなプロ」なんかは最高ですね!こうしたフィールドを活かして行動し、社会や地域との接点をつくることができれば、自信にもなり、将来的に多くの選択肢を持って生きていくことができるのではないかなと感じています。

まさに、生徒たちが社会に出る前から、楽しみながら学び、地域や社会との繋がりを持つことができる環境が同志社中学校にはあります。「京都に同志社があってよかった。」そう思ってもらえるように、これからもどんどん発展させていってほしいですね!